01 試作専門工場として

富士精機製作所は、約30年前より試作加工部門を立ち上げ、現在は本社である田無工場が試作専門工場として稼働するまでに至りました。ここでは、試作専門工場ならではの苦労や心構え、そして今後の展望について、ご紹介します。
試作は技術力を高める
富士精機が試作を始めたころ、事業は自動車部品の量産加工が95%を占め、当時の日本の景気も後押しし、業績は順調に推移していました。しかしながら、量産加工は一社の依存率が高くなり易く、また、基本的には類似製品を扱うため、技術力の向上に限界がありました。そこで目を付けたのが、少量多品種の新規品を短納期で扱う試作加工でした。
試作は技術力を高める
設備力が下支えをする
とはいえ、ノウハウもなければ設備もない。そんな会社にお客様の信頼を得られるはずがない。社長を除く関係者全員が不可能と考えておりましたが、大規模な設備投資を行ったことで、徐々に案件を頂けるようになりました。特に近年は、5軸加工機に重点的に投資を行い、その数は18台となりました。この加工機は、加工者の技術力を何割も押し上げるものであり、若手技術者が大いに活躍をしています。
設備力が下支えをする
試作工場の心構え
少量多品種の新規品を扱う試作案件は、毎日が新しい課題の連続です。その過程で得られたのは、「できない」ではなく「どうしたらできるか」と考える発想力です。加工設計は勿論のこと、治具設計や検査等においても、まずは常識を疑うことを大事にしています。
そうした日々を過ごしていくと、「難しい課題程やりがいを感じる」といったメンバーが自然と集まるようになりました。テクノロジーが日進月歩に進化する昨今、富士精機も毎日の成長に嬉しさを感じます。
試作工場の心構え
今だから考える強み
様々な難題を乗り越えていくうちに、富士精機の強みは、①量産工場であること、②鋳物の扱いに長けていること、と分かりました。
試作専門会社と違い、富士精機は量産会社でもあり、大量の製品を厳しい納期管理の元で製造を行っております。このようなバックグランドがあるからこそ、他社が手を付けられない百台単位の試作案件も苦にしませんし、むしろ、得意分野と言えます。
また、富士精機は長年、アルミ鋳物の加工を扱って参りました。いわゆる、ブロック材から加工する削り出し加工とは異なり、鋳物加工は、加工品に平面がなく、一つとして同じ素材を扱うことはありません。そのため、素材形状、金属性能、温度、加工機の状態等を考慮しながら、治具部隊と打ち合わせを重ね、微調整を繰り返して加工を行っていきます。鋳物の特徴を知り尽くした富士精機だからこそ、実現可能な加工と考えます。
今だから考える強み
今後は・・
これまでは自動車産業を中心に加工を行っておりましたが、今後は航空・防衛等の異業種にも進出すべく、準備を進めています。また、試作工場のマインドを生かし、是非スタートアップ企業様のお手伝いをしたいですね。
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